サロンの売上が安定しない——
そう感じている多くのオーナーに共通しているのは、“働き方の設計が曖昧なまま、日々の営業を続けている” ということです。
1日何名施術すべきか、週に何日働くのか、どれくらいの売上を目指すのか——
これらがはっきりしていない状態では、価格設定も予約枠の作り方も、発信の方向性も揺れてしまいます。サロン経営は「努力した量」で決まるのではなく、「どんな働き方で生きたいか」から逆算して設計できているか で決まります。
この記事では、ひとりサロンが無理なく続けながら、安定した売上をつくっていくための「働き方設計」の基本をお伝えします。この記事を読み終える頃には、あなたのサロンに最適な働き方・売上・予約枠の“正しい基準”が明確になり、経営の軸が一本スッと通るはずです。
1. サロン経営は“働き方”から決める
多くのサロンオーナーは「売上はいくら欲しいか」から考えます。しかし本来の順番は逆。
① まず『どんな働き方をしたいか』を決める
働き方の希望がそのまま経営の土台になるからです。
例えば:
- 週4働きたい
- 1日2〜3名の施術が理想
- 休みは週2日
- 夜は働きたくない
- 月に1度、学びの時間を取りたい
こうした “あなたが理想とする生活の形” が、そのまま経営の構造を決めます。
② 働き方が決まれば、売上は自動的に決まる
具体例で見てみましょう。
- 1日の施術数:2名
- 週の営業日:4日
- 月の施術数:2名 × 4日 × 4週 = 32名
もし月商60万円を目指すなら、
60万円 ÷ 32名 ≒ 18,750円
→ 理想単価は 18,000〜20,000円台 が適正になる。
つまり、“働き方を決めると、適正単価が自然に見えてくる”。
2. 売上を安定させる「時間の設計」
働き方の次に決めるべきは 時間設計。
① 「施術時間+前後の時間」をセットで考える
施術後の片付け・準備・着替えなども時間に含めます。
例:
- 施術:90分
- 前後:30分 → 合計120分(2時間)
この場合、最大でも 1日4名 以上は現実的に難しい。
② 稼働率から判断する「適正枠」
理想は 稼働率80% を目安にします。
例:
予約枠が月40枠
→ 32枠埋まれば安定ライン
枠が100%埋まり続けると、必ず疲弊します。“余白のある経営” がひとりサロンには必須です。
3. 売上目標の決め方(ひとりサロン専用)
売上目標は 「働き方から逆算する」 のが鉄則。
① 目標売上は「手取り」から考える
サロンオーナーがよく陥るのが「売上目標=経費込み」になってしまうこと。
本来は、
- 手取り
- 経費
- 売上
この順で考えなければなりません。
② 実例:月商60万円の内訳
例:手取り40万円ほしい場合
- 40万円(手取り)
- + 15〜20万円(経費:家賃・材料・光熱・広告etc.) → 月商:55〜60万円が必要ライン
ここから逆算すると、
- 月間施術数
- 適正単価
- メニュー構成 が明確になります。
4. “理想の働き方”を可視化するワーク
① あなたが理想とする働き方を書き出す
- 週に何日働きたい?
- 1日何名施術したい?
- 夜は働きたい?働きたくない?
- 休日は?
- プライベート時間はどれくらい必要?
② その働き方で可能な施術人数を計算する
- 月間施術数
- 稼働率
- 予約枠
③ 必要な理想単価を計算する
月商目標 ÷ 月間施術数 = 理想単価
まとめ|働き方を決めると、経営が整う
今回のポイントは3つ。
- 働き方 → 単価 → 売上 の順で決める
- 時間設計(施術+前後時間)まで必ず含める
- 働き方を明確にすると、導線・メニュー・価格も整う
サロン経営は “努力量” ではなく“設計の質” で決まる 時代。
まずはあなた自身が心地よく働ける形をつくることで、売上は自然と安定し、継続できる経営になります。
次の記事では、
「メニュー構成と価格戦略が利益を決める」
について深く解説していきます。
