サロンの売上を左右するものは何か——。
多くのオーナーは「集客」に意識が向きがちですが、実際のところ 売上の安定を決めているのは “メニュー構成と価格設計” です。
料金に自信が持てなかったり、メニューの違いをどう伝えればいいかわからなかったり、「お客様に合わせて何となく提供している」状態になっていると、どれだけ集客しても利益が残らない経営になってしまいます。
逆に、売上が安定しているサロンには共通点があります。
それは、誰が見てもわかりやすく、選びやすく、継続しやすいメニュー構成になっていること。
- どのメニューが軸なのか
- どの価格帯が“主役”なのか
- お客様は何を基準に選ぶのか
- どうすれば継続につながるのか
これらが明確なサロンは、自然と売上が安定し、リピートや継続プランも無理なく決まります。
この第3章では、あなたのサロンの売上を支える “メニューと価格の正しい設計” をひとつずつわかりやすく解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたのサロンの売上の“カタチ”がはっきりと見えるようになり、迷いなく価格とメニューを組み立てられるようになります。
“売上が安定するサロン”はメニュー構成で決まる
多くのサロンオーナーが「もっと集客を頑張らなきゃ」と思っています。
しかし実際には、売上が安定するサロンは“集客以前に、メニュー構成が正しい” という共通点があります。
- 利益が出る価格設定になっている
- お客様が選びやすい構成になっている
- 継続しやすいプランが用意されている
- ターゲットに刺さるコース名になっている
この “メニューの設計力” が、サロン経営の成否を分けます。
第3章では、あなたのサロンの売上を安定させるためのメニュー構成・価格戦略の基礎をすべて解説 していきます。
1. なぜメニュー構成がサロン経営の9割を決めるのか
理解すべきポイントは2つあります。
① お客様は「何を受ければいいのか」わからない
多くのサロンのメニューは情報が細かすぎて、初めてのお客様には判断できません。
- 60分なのか?90分なのか?
- このコースとあのコースは何が違う?
- 自分の悩みにはどれが最適?
わからないと、結局“安いメニュー”を選ばれてしまう のが現実。
でもサロンとして、「この施術メニューが一押し!」そして「このコースを受けてもらえればリピートしてもらう自信がある!」そう思えるコースメニューの価値をきちんと発信することが大切です。
② 選びやすい構成は“売上の安定”につながる
お客様が迷わず選べるメニューは、
✔ 満足度が高い
✔ 回数券・継続に繋がる
✔ 客単価が上がる
✔ リピート率が上がる
つまり、正しいメニュー構成=安定した経営 です。
2. 売上を最大化する「松竹梅」の作り方
① 松竹梅が最適な理由
松竹梅構成は、心理学的にも経営的にも最強です。
- “真ん中(竹)”に人は最も安心して申し込む
- 一番高いメニュー(松)が“価値基準”をつくる
- 一番低い(梅)はお試し層に刺さる
この3段階があることで、あなたが売りたい「竹」メニューに自然と誘導できます。
② 松竹梅の比率はこうする
もっとも成果が出る構成はこれ。
- 松:高付加価値 15〜20%
- 竹:スタンダード 60〜70%(メイン)
- 梅:エントリー 10〜20%
③ 新規メニューには“悩み別の刺さるワード”を入れる
例(肩こり・むくみ・自律神経を想定):
- 「肩の疲れを解消 × 自律神経ケア」90min
- 「むくみは滞りのサイン!巡るからだへ導くオーダーメイド」120min
- 「40代のためのホルモンバランスケアで”ゆらぎ”を整える」120min
お客様は “自分の悩みに刺さる言葉” で選びます。
3. 理想単価を決める“逆算の公式”
月商目標 ÷ 月間施術数 = 理想単価
これがすべての基本です。
① 実例で見てみる
- 週4日営業
- 1日2名施術
- 月間施術数:32名
- 月商目標:60万円
→ 60万 ÷ 32名 = 18,750円
→ 理想単価は 18,000〜20,000円
もしあなたの単価が10,000円なら、“どれだけ集客しても疲れる経営”になります。
② 理想単価に合わせてメニューを整える
竹を18,000〜20,000円にする。
松を25,000〜30,000円台にする。
梅を14,000円台にする。
これだけで 利益率が大きく改善 します。
4. 回数券・継続プランは「自然に売れる設計」にする
① 回数券は「問題が解決される速度」で作る
例えば:
- 肩こり:3〜6回
- むくみ:3回
- 自律神経・更年期:6〜8回
- バスト・姿勢:8回〜
といったように、その悩みを解決するために必要な速度(通う頻度、回数)を提示できるようにしましょう。ここを “科学的に説明できる” セラピストは信頼されます。
② 継続プランは2ヶ月更新が最も売れる
理由:
- モチベーションが高い期間
- 結果が見えやすい期間
- 次の改善ポイントを提案しやすい
- 長期すぎる契約は離脱しやすい
③ 提案は初回ではなく“2回目”が黄金タイミング?
初回来店時に、チケットを”押し売り”に近い形で販売しようとするサロンは多くあります。大手サロンほど、売上目標が個人に課せられていて初回来店のお客様へチケット購入を”強く勧める”ところは多いですが、個人的には、きちんと信頼関係を築けたタイミングで販売するのがベストだと考えています。
なので、初回でも信頼関係が築けたならスムーズにチケット販売ができるでしょうし、2回目の来店を促して、もう一度受けてから判断しても構わないです。と伝えても良いでしょう。
それくらいの余裕と自信があるほうが、お客様からの信頼は得られたりします。
初回は体験でOK。2回目来店時に「今後の改善の流れ」を提案するのもアリです。
5. 値上げは“お客様のメリット”で伝える
値上げは悪いことではありません。
むしろ技術と体験価値が上がっているなら当然のこと。
① 値上げを嫌がられない伝え方
- 施術内容が進化した
- 使用している商材がグレードアップした
- カウンセリングの質が上がった
- お客様の結果が出るようになった
「価格を上げます」ではなく“価値が上がった理由” を丁寧に説明するだけで受け入れられます。
まとめ|メニュー構成が整うと、利益は自然と安定する
この記事でお伝えしたポイント:
- 松竹梅の構成は売上と満足度を最大化する
- 刺さるコース名は“悩みワード”が鍵
- 理想単価は働き方から逆算する
- 回数券・継続は“自然に売れる仕組み”が重要
- 値上げは価値向上とセットで伝える
メニュー構成が整うと、利益が残り、経営の基盤が強くなり、あなた自身が無理なく続けられるサロンになります。
次の記事では、
「コンセプトと言語化がすべての土台になる」(第4章)
を深掘りしていきます。
