施術メニューの価格設定は、サロンの売上に大きく影響します。
しかし多くのサロンが「なんとなく周りの相場に合わせる」「必要な売上から逆算した“ちょうど良さそう”な金額をコース価格にする」という決め方をしてしまっています。その結果、キャンペーンで値引きしたり、回数券を割引して販売したときに、利益が想定より大きく下がる という問題に直面します。
サロンビジネスは本質的に “リピートビジネス”。だからこそ、価格戦略の土台づくりは売上の安定に直結します。
この記事では、多くのサロンが見落としている「価格は1.2倍で設定する」べき理由と、割引率の正解 を分かりやすく解説します。
サロン経営は“リピートビジネス”だから価格戦略が最重要
サロンビジネスの構造は、一般的な小売とは異なり、“単発売上”より“継続利用”によって成り立つビジネスモデル です。
継続来店が増えると、
- 売上が安定する
- 予約が埋まりやすくなる
- 新規集客に依存しなくなる
- 経営に余裕が生まれる
だからこそ “リピートを前提とした価格設計” が必要です。
1. リピートを生む仕組みの一つが「チケット回数券」
多くのサロンが、リピート促進のために「回数券」や「継続プラン」を用意します。しかしここで致命的なミスが起きがちです。
2. サロンが陥りやすい“価格設定の落とし穴”
- 月商から逆算して必要な客単価を算出する
- その金額をそのままコース価格に設定する
- 割引キャンペーンや回数券割引を行う
多くのサロンは上記のようなことをしてしまうことで、値引きした瞬間に売上が届かなくなってしまいます。つまり、「必要客単価=コース価格」にしてしまうと絶対に崩れるということです。
理由はシンプルで、サロンは必ず「割引」を使う場面が出てくるから。
- 新規割
- 回数券割引
- キャンペーン
- 誕生日特典
- 時期によるプロモーション
- モニター価格 …など
その度に売上が下がってしまう。
3. 正しい価格設定=“必要単価 × 1.2倍”
ここがこの記事の核心。
割引しても売上が落ちない価格戦略=必要な売上から逆算した客単価に「20%バッファ」を持たせること。
① 20%上乗せする理由
- 回数券の割引は10〜20%が多い
- キャンペーンでも10〜15%割引が一般的
- 完全に定価で買うお客様は少数
つまり最初から「20%の余白」を持たせておかないと、割引した瞬間に利益が消える。
② 例:必要単価12,000円の場合
必要単価:12,000円
→ 価格設定:14,400円(=12,000 × 1.2)
これをベース価格にしておけば、20%割引しても 11,520円 と許容範囲内。
4. 割引は“20%OFFまで”が最大値
サロンビジネスでは20%以上の割引は利益を大きく削るNGライン。
理由:
- 技術職は原価率が低いが「時間」が商品
- 割引すると利益率ではなく“時給”が大きく下がる
- 集客が増えても売上が伸びない“労働過多”状態になる
- 人件費の概念がないひとりサロンほど危険
だからこそ、割引の上限は最大20%まで。
これが“続くサロンの値引き基準”。
5. 割引前提の価格にすると、お客様の満足度も上がる
「値引きありき」で価格設計すると、
- 回数券がお得に見える
- キャンペーンで来店ハードルが下がる
- 定価との差が“価値”になる
- 継続プランの成約率が上がる
つまり、価格設定 × 割引戦略 = サロンの利益構造と考える必要があるということ。
6. 価格戦略は“サロンの土台”をつくる設計図
価格戦略が正しく作られていれば
- 回数券が売れても利益が落ちない
- キャンペーンを安心して打てる
- 継続プランの成約が増える
- 価格に自信を持てる
- 売上が安定する
価格設定とは、“サロンの未来を守るための設計作業” です。
まとめ|価格は“ただ決める”のではなく“設計する”もの
- サロンはリピートビジネス
- 割引を想定した価格設計が必要
- 価格は「必要単価 × 1.2倍」が正解
- 割引は最大20%まで
- 価格戦略は売上の安定と直結している
価格は、「なんとなく」で決めていい項目ではありません。サロンの未来も、働き方も、安定も、すべて“価格設計”がつくります。

